中古マンションを買ってリフォームした話
最後の記事から2年近く経つが面白いトピックがなかったので仕方ない。 不動産の価格がここ数年間年率5-10%ぐらいで高騰していて、不動産バブルなんじゃないかと疑心暗鬼になっている中、都内に中古マンションを買ってしまったのでそれについて書く。
- なぜこのタイミングで買ったのか
- 購入に際し何を検討したか
- なぜ自分でリフォームしたか
について書こうと思う。 リフォームについては別途記事が書けそうなので、書け次第ここからリンクを貼る。
まず、なぜこのタイミングで買ったのかについて。答えから言えば、広い家が必要になったから。住む家は相場ではなく必要になったタイミングで買えという話をよく(?)聞くが、まさにそれ。昨年こどもが生まれて、最近はうろうろと動き回るようになり、こどもの荷物も増えてきた。その上、夫婦で家でリモートワークをしているので現在の2LDKの賃貸ではさすがに狭い。ということで、現住所から徒歩3分のところにある3LDKの築20年のマンションを買った。 不動産バブル疑惑に関しては、多少その可能性はあると感じつつも、
- バブルが弾けてゼロ金利政策前の2012年水準に戻る30-40%前後の価格暴落が起きてもローンの支払い金額が変わるわけではないので影響は少ない。(売るにしても次に買う場所も安いので気にしない)
- 住宅ローン金利の上昇により支払金額が増えても、現在のリタイア計画である63歳から2-3年延長して働き続ければ今の資金計画は破綻しない
という観点から十分にリスクを取れる状況にあると判断した。
が、基本的には今の値上がりはバブルではなく、都心への人口集中と、デフレ&円安の結果による海外投資家からの買い圧力によるものであるという考えを持っている。最近ちきりんのVoicyを聞き始めて、バックナンバーに都内の不動産の話があったので課金して聞いてみたが似たようなことを言っていた。(link) 人口減少によって遠い将来不動産価値が下がるので賃貸の方が良いのでは論に対するカウンターとしては、住んでいる区が2050年を超えると人口が減ると予想を出しているが、アクセスの良い(そこそこ主要である路線の駅から徒歩3分)マンションを買うことで人口減少の影響をできるだけ受けにくくしたつもりである。
次に購入にあたって何を検討したか。いろいろ検討しすぎて整理して書くのが難しいが頑張って書く。
1. 都内に住むべきか近隣の県に逃げるべきか
自分が見ていた条件だと都外に逃げることで20%ぐらい価格が抑えられた。しかし以下の課題が発生する。
- 今は夫婦ともリモートワークなので良いが、出勤することになったら通勤時間がもったいない。
- 将来的な人口減少により不動産価値が下がる可能性がある。(自分達には影響が少ないが相続した子や孫が得られる価値が下がる)
- 子が中学受験をしたいとなったときに通学に時間がかかる or 通える学校の選択肢が減る
- 引っ越し先で保育園に入れられる確証がない
その他いくつかあるが書かないほうが良いこともあるので、省略する。このデメリットを20%分の差額で受け入れるか、金で解決するかという判断をしたが金で解決することにした。
2. 3LDKの賃貸ではダメなのか
これから5年、10年、15年賃貸に住んで、その後に家を購入するパターンでかかるお金の合計を計算したが、購入の方が安いという結論になった。(固定資産税とか引っ越し費用とか、水回りの修繕とか全部込み。) もちろんグレードの低い物件に賃貸で住めば賃貸の方が安くなるのだが、家を買うケースと同じグレードの物件に賃貸で住むことを考えると購入したほうが安い。後は賃貸のメリットとして家に飽きたら引っ越して気分転換ができる、キッチン/お風呂等の家具が古くなってきたらそれらがキレイな物件に引っ越すことで実質タダ(?)で家具の更新ができるというものがあるが、こどもができてしまうと(校区を離れて)引っ越すのは心理的コストが大きく、それがメリットとして機能しづらくなる問題もある。 あと探していた地域では良さげな賃貸はなぜか定期借家3-5年ばかりで、その頻度で引っ越すのはさすがに辛すぎた。(貸す側の心理はわかる)
3. 築何年の物件を買うべきか
新築は高すぎて手が出なかった。新築は今まで誰も住んでいないことにプレミアがついていて、住んだ1日目に一気に価値が下がるのでそもそも買いたいとはあまり思わない。続いて古い方から見ていくと1983年以前の物件は旧耐震の可能性があるので、これを許容するかどうかという話が出てくる。やはり旧耐震の物件は売れ残りがちに見えたが、旧耐震だから一気に値段が下がるということは無いように感じた。特段安くなるわけではないのであれば、あえて旧耐震を選ぶ必要もないので基本的には新耐震で見ていた。 妻が他人が使った水回りの設備をそのまま使いたくないという性格なので、リフォームなしでも住めるような築15年以下ぐらいの物件はコスパが悪かった。必然的に15-40年弱ぐらいの枠で探すことになる。
問題は買った後に何年住めるのか、いつ建て替えるのかである。現存のマンションがあと何年持つのかは(たぶん)誰にもわからないし、購入時点で参考にできるのは定期的に大規模修繕がされているかどうかぐらいである。あとはコンクリートの強度で(本当かどうか分からないが)100年コンクリートといった謳い文句のコンクリートを使っているマンションもあり、管理組合に聞けばそれかどうか分かるかもしれない。基本的には修繕費が十分に溜まっており、大規模修繕が必要なときに行われているかどうかを見るしかない。マンションを複数見て知ったが、少なくないマンションで修繕費が不足していて or 想定以上に大規模修繕にコストがかかっていて、多くの管理組合では銀行から借り入れを行っている。
建て替えについては、住民の8割の賛成が必要なのでそもそも建て替えが現実的ではない論が主流だが、建て替え時に今よりも面積が広いマンションを建てられるのかは確認しておく価値がある。現物件の容積率は物件の資料に載っているだろうし、その土地の容積率は行政が公開している。容積率に余裕があればマンションの建て替え時に部屋数を増やせるので、その販売利益を立替費用に充てられて現住民は低コストで建て替えができる。こうなれば建て替え反対住民を多少説得しやすくはなるだろう。一方でマンション建設後に行政が容積率を減らした等の理由で、容積率を既にオーバーしている物件もある。これは上と逆のことが起きるので建て替えは厳しい道となる。20年30年後に売る計画であったとしても、築年数が増す毎にこの観点での評価の重みが増すように感じるので、見ておいて損はないと思う。
話は戻って、なぜ築20年の物件を買ったかというと、たまたまこの物件が長期間売れ残っていて交渉により表示価格よりも安く購入できそうだったことと、周辺には築40年前後の物件が多く、築20年物件の競合が少ないため値崩れしづらいだろうということで購入した。(上で話したこと全然気にしてないじゃん。。) 買った後に売主から新築時のパンフレットを貰って知ったが、なんとこの物件は100年コンクリートを使っていた。やったね!
そろそろ最後のトピックに行こう、なぜ自分でリフォームしたか。そもそも築20年の物件ではリフォームされた状態で売られていることは少ない。築30年を超えてくると多くがリフォームされていて、40年ぐらいになるとほぼ確実にリフォームされている。リフォームされて売りに出されている物件のほとんどはリフォーム会社が中古物件を買って自分たちでリフォームして、それを売っている。つまり私達が買う前にすでに一度売買されており、その仲介料も価格に組み込まれている"はず"である。自分が見ていた地域ではリフォーム前後で1000万円強ぐらいの差があったように感じる。全く同じ条件での前後を比較できないので、近い条件の物件を比較することになるのだけど、1-2年ずっと不動産ポータルサイトを見ていたのでそんなにズレた感覚ではないと思う。とある情報筋によるとリフォーム会社は繋がりのある法律事務所から、ローン返済不能になって銀行に引き渡された物件を紹介してもらって市場価格よりも安く物件を仕入れてリフォームして高く売っているらしい。(ずるいじゃん)
特にインテリアのこだわりがなければリフォーム済の物件を買えば良いと思うが、気にしたいのは配管がきちんと交換されているかどうか。築30年を超えていればほぼ確実に交換されているだろうが、築20年でリフォームされているけど給湯管だけリフォームされていない(耐用年数25年の素材です)とかなると、購入後5年で床を剥がして給湯管を交換するハメになる。そういうことが気になってしまう僕のような心配性の人はリフォーム前の物件を買って、リフォーム会社と一緒に家のしくみを勉強しながらリフォームすると良いと思う。 うちのケースでは各部屋の扉と収納以外ほぼすべてリフォームしたが、650-700万円ぐらいだった。リフォーム前物件特有の購入後リフォーム期間約3ヶ月は住めない事による住宅費2重課金問題を考慮しても、リフォーム済の物件を買う場合と比較して200-300万円ぐらいは浮いたと思う。リフォーム済物件の場合は今回リフォームしなかった扉や収納もリフォームされていることが多いので単純には比較できないが、残せるものは残すという選択ができるのも自前リフォームの特権である。一方でリフォームするには大変な労力がかかるので、大量時間が取られる一大プロジェクトとなることは心に留めておいたほうが良い。きっとゼルダをクリアするよりも時間を取られるよ。これについては次回の記事で。