しょ〜うぃん広場

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ホラクラシーを導入して3ヶ月経った感想

会社で5月ぐらいからホラクラシーという組織のフレームワークを試験的に採用していて、3ヶ月が経った。 結論から言うと、3ヶ月ではまだ良いかどうかはわからない。 ホラクラシーの恩恵を十分に得られていない感じはするが、Pros/Consはいくつか思うところがあるので忘れないうちにメモしておく。

導入の背景

ホラクラシーを導入しよう!となったのは、だれかが組織に関する本を読んで…のような理由ではない。 もともと会社の採用方針が「社内の人間が持っていないスキルを持っていること」であったので、そもそも今社内でどういうスキルが足りないんだっけ…?今後どういうスキルを持っている人を集めないといけないんだっけ?と考えることが多かった。 HR担当が入ったタイミングで今の採用状況を上のように伝えると、それってホラクラシーの考え方に近いから社で導入してみる?という話になった。(実際にはそこまで近い考え方ではなかったが、、、)

(話は逸れるが)HRの専門家がいなければホラクラシーなんて言葉も知らなかっただろうし、社内にない知識が外から入ってくるのはいつも大変嬉しいことだなと感じる。

導入前の準備

HR担当も含めて、ホラクラシーの詳細は社内でだれも理解していない状態だったので、HOLACRACY 役職をなくし生産性を上げるまったく新しい組織マネジメントを読んで勉強した。Holacracy One というホラクラシーの組織管理ツール(GlassFrog)を作っている会社の代表が書いている本で、ホラクラシーを導入すべき理由からホラクラシーの運営方法まで一通り書いてある本でよくまとまっている。 現在日本語で読める本はこれ一冊のみ!という感じなので、丁寧に翻訳されていてよかったという感想だ。

英語ではWebでホラクラシーの運用方法が公開しており、うちの代表が抜粋して和訳している。 本を買う前にどういう組織運営をすることになるのか知りたい方は読んでみると良いかもしれない。

メリット

個人的にはホラクラシーを導入したときに得られる一番大きなメリットは現場のメンバーが経営層の目から届かなくなった時に得られると考えているため、まだ社員20人弱のうちの組織ではホラクラシーのメリットが十分に得られていない可能性がある。それでもいくつか良い点を感じることができた。

1. 責任範囲が明確になり、意思決定の速度が早くなった

実際にあった例でいうと、Product Manager と UX Designer がそれぞれ製品の仕様を決めるときに、ホラクラシー導入前、つまりお互いがどこまでを担当するか明文化されていなかったときには、お互いの考えが衝突したときに「PMがそこまで言うならもうそれでいいよ」というように決めてしまうことがしばしばあり、時間をかけて議論した結果お互いスッキリしない意思決定を下してしまうこともあった。ホラクラシー導入後はUX Designerのドメインを「プロダクトの情報設計 / インラタクションデザイン」と明確にしたことにより、UX Designer が最終決定権を持つことになり、意思決定の速度を早めることができるようになった。PMや開発者など周りのメンバーも「こういうデザインのほうが良いのでは?」という意見は投げるし、Bizサイドからもお客さんの声をUX Designerに投げるが、それらの意見を聞いて総合的に判断した結果、なにをどうするかはUX Designerの独断で決まる。そういった意味では、ホラクラシーはお互いを尊敬し信頼し合えるメンバーで構成されたチームでないと上手くワークしないフレームワークかもしれないと感じるところがある。

2. だれがなにをやっているのか明確になる

(うちはスクラムで開発しているのだが)最近ぼくはスクラムで言う「開発チーム」を抜けて「プロダクトオーナー」になった。まだ小さな組織なので意識的に共有しなくてもBizチームもその変化を知っているが、これが100人超の組織になると今だれがどういう役割を担って仕事しているのか正確に把握するのは難しくなる。 そうなったときにも、ホラクラシーで役割が明確化されていれば、今自分が持っている課題は誰に相談しに行くべきか瞬時に把握することができ、「誰に相談してよいか分からないからとりあえずマネージャーに相談する」というような非効率なコミュニケーションルートはなくなるだろう。 ただしこの一覧性/検索性はツールに依存するところもあり、一番メジャーであろうGlassFrogではそれが実現できていない。

(また脱線するが) GlassFrog は本当にひどいプロダクトで、ホラクラシーが広がらない理由の一つにこのプロダクトがイケてなさすぎることが挙げられるレベルだと思う。 今から真面目にホラクラシーの組織管理サービスを作ったら容易に世界No.1を取れるので、暇をしている人は作ってみると良いと思う。

デメリット

ミーティングに取られる時間が長い

ホラクラシーのミーティングは特殊な進行方法を取っており(詳細は割愛)、これは普段あまり声をあげない人の意見も汲み取るためのプロセスのように感じる。良くないMTG例の1つに、声の大きい人の意見がなんとなく通ってしまって、なんとなく意思決定が行われてしまうものがあげられるが、ホラクラシーのMTGはそういった事はない。 それはそれで良いのだが、1つの意思決定を行うために複数のフェーズで全員が発言をする必要があり、予想以上に時間が取られる。成熟したチームにおいては、もう少しそのプロセスを簡略化するほうが効率的かもしれない。

おわりに

久しぶりに記事をかいたら、「です・ます調」から「だ・である調」に変わってしまっていたが、書き直すのも大変なのでこのまま公開することにする。